技人国で雇える仕事・雇えない仕事|学歴要件と業務範囲
| 大学卒業等がない場合の実務経験 | 10年以上 |
|---|---|
| 国際業務の実務経験 | 3年以上 |
| 言語を使う対人業務 | CEFR・B2相当 |
| 研修がある場合の在留期間 | 原則1年 |
| 分類 | 採用の実務 |
| 所管 | 入管庁・厚労省 |
| 最終確認日 | 2026/10/14 |
| 出典 | 10本 |
この記事の要約
在留資格「技術・人文知識・国際業務」で任せられる仕事と任せられない仕事を、出入国在留管理庁のガイドラインと許可・不許可事例で整理。学歴・実務経験の要件、入社後の研修、特定技能との違い、在留期間まで扱います。
本文
在留資格「技術・人文知識・国際業務」(いわゆる技人国)は、大学などで身につけた専門知識や、外国の文化に根ざした感性・語学力を使う仕事のための在留資格です。工場のライン作業、店頭での接客販売、清掃、配膳のように、特段の知識がなくても反復訓練でこなせる業務が仕事の中心になる場合は、この在留資格の対象になりません。判断されるのは求人票の職種名ではなく、実際に任せる業務の中身と、在留する期間全体の働き方です。この記事では、出入国在留管理庁が公表している「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」(最終改定令和8年4月)と許可・不許可事例をもとに、採用担当者が採用前に確かめておきたい点を整理します(2026年10月14日確認)。
THREE PILLARS01技人国で認められる仕事は3種類
入管法の別表は、この在留資格の活動を「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う」次の業務と定めています。名前のとおり、技術、人文知識、国際業務の3つに分かれます。
| 技術 | 理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術・知識を要する業務。ガイドラインは、自然科学には農学、医学、歯学、薬学なども含まれるとしています |
|---|---|
| 人文知識 | 法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術・知識を要する業務。文学、哲学、教育学、心理学、史学、政治学、商学、経営学なども含まれます |
| 国際業務 | 外国の文化に基盤を有する思考または感受性を必要とする業務。単に外国人であるだけでは足りず、日本の文化の中では育たない思考・感受性に基づく一定水準以上の専門的能力が要るとされています |
出入国在留管理庁が挙げる該当例は、機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者などです。いずれの区分でも、前提として「学術上の素養を背景とする一定水準以上の専門的能力を必要とする活動」でなければなりません。また、契約は雇用のほか委任・委託・嘱託でもかまいませんが、特定の機関との継続的なものであることが求められます。
REQUIREMENTS02本人に求められる学歴・実務経験と報酬
上陸許可基準(法務省令)は、従事する業務の種類ごとに本人の要件を定めています。2026年10月14日にe-Gov法令検索で確認した現行の規定と、令和9年4月1日施行の未施行版とで、技人国の基準の文言に違いはありませんでした。
| 技術・人文知識の業務 | 次のいずれか。①業務に関連する科目を専攻して大学を卒業した(同等以上の教育を含む)。②関連する科目を専攻して日本の専修学校の専門課程または専攻科を修了した(法務大臣告示の要件を満たす場合に限る)。③10年以上の実務経験(関連科目を専攻した期間を含む)。情報処理の業務は、法務大臣が告示で定める情報処理技術の試験合格・資格でも足ります |
|---|---|
| 国際業務 | 翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝、海外取引業務、服飾・室内装飾のデザイン、商品開発などに従事し、関連する業務について3年以上の実務経験があること。ただし大学を卒業した人が翻訳・通訳・語学の指導に従事する場合は、実務経験は要りません |
| 報酬 | 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上。通勤手当、扶養手当、住宅手当など実費弁償の性格をもつもの(課税対象となるものを除く)は報酬に含まれません |
専攻と業務の関連性の見方は、学校の種類で違います。大学(海外の大学を含む)と高等専門学校は、教育機関としての性格から関連性を「従来より柔軟に判断」するとされています。専修学校は原則として「相当程度の関連性」が必要です。ただし、文部科学大臣の認定を受けた外国人留学生キャリア形成促進プログラムの学科を修了した人は柔軟に判断され、関連性が認められた業務に3年程度従事した人も、その後の業務との関連性を柔軟に判断するとされています。専修学校の場合、専門士または高度専門士の称号などが前提です。
10年の実務経験について、ガイドラインは「技術・人文知識・国際業務」に当たる業務に10年従事したことまでは求めず、関連する業務に従事した期間も含むと説明しています。
LANGUAGE B203言語を使う対人業務は「CEFR・B2相当」が前提に
令和8年4月15日にガイドラインが一部改正され、翻訳・通訳など言語能力を用いる対人業務の扱いを定めた別紙4が新たに公表されました。主に言語能力を用いる対人業務に従事する場合は、本人がCEFR・B2相当の言語能力を持っていることが前提で、持っていなければ「一定水準以上の業務」に従事するものとは認められないとされています。出入国在留管理庁の案内では、申請職種が「翻訳・通訳」や、ホテルフロント業務などの「接客」の場合が例に挙がっています。
日本語について、次のいずれかに当たればB2相当とみなされます。
- 日本語能力試験(JLPT)N2以上
- BJTビジネス日本語能力テストで400点以上
- 中長期在留者として20年以上日本に在留している
- 日本の大学を卒業した、または日本の高等専門学校・専修学校の専門課程・専攻科を修了した(専攻科目と業務内容に関連性がある場合に限る。認定を受けた専修学校の学科の修了者は柔軟に判断)
- 日本の義務教育を修了し、高等学校を卒業している
日本語以外の言語では、その言語が本人の母国語・公用語であること、CEFR表示のある試験でB2以上が証明されていること、または業務上必要な言語能力があると評価できる合理的な理由が説明されていることが基準です。所属機関がカテゴリー3・4の場合、令和8年4月15日以降の申請から「所属機関の代表者に関する申告書」が追加され、主に言語能力を用いる対人業務に従事するときはこの言語能力を証する資料も提出します。カテゴリー1・2でも、審査の過程で言語能力の資料を求められることがあります。在留期間の更新では、以前から同様の業務を続けている場合は原則として提出不要ですが、転職や業務内容の変更で言語を用いる業務が中心になった場合は提出が必要です。
NOT ALLOWED04雇えない仕事:知識を要しない業務が中心なら対象外
ガイドラインは、求人の採用基準に「未経験可、すぐに慣れます。」とあるような業務や、学歴・実務経験の要件を満たさない日本人従業員が一般的に従事している業務は対象にならないと明記しています。さらに、技人国に当たる業務が全体のごく一部で、残りが特段の技術・知識を要しない業務や反復訓練で従事できる業務であれば、在留資格に該当しないと判断されます。出入国在留管理庁が公表している不許可事例から、採用担当者が陥りやすい型を拾うと次のとおりです。
| 現場作業が中心 | 教育学部卒の人が弁当工場で箱詰め作業に従事する。工場で部品の加工・組立・検査・梱包を行い、在籍する技能実習生とほとんど同じ業務をする。バイクのフレーム修理やタイヤの付け替えが中心の業務 |
|---|---|
| 職種名と実態が違う | 派遣で「翻訳・通訳」として申請したが、派遣先の小売店では接客販売に従事する予定だった。飲食店で「通訳」とされた業務が英語で注文を取る程度で、翻訳はメニューのみだった(業務量が認められない) |
| ホテル・旅館 | 主な業務が宿泊客の荷物の運搬と客室清掃。駐車誘導とレストランでの配膳・片付け。採用後最初の2年間が実務研修として配膳や客室清掃に充てられ、在留期間の大半を占める |
| 報酬が日本人より低い | 同時に採用された同種業務の日本人新卒が月額18万円なのに、本人は月額13万5千円。旅館で同種業務の日本人が月額約20万円なのに本人は約15万円で、差の合理的な理由がない |
| 専攻との関連性がない | 専門学校の声優学科を卒業した人がホテルで翻訳・通訳業務に従事する。服飾デザイン学科の卒業生が旅館のフロント受付を行う |
| 在留状況 | 留学中に資格外活動許可の範囲を大きく超えて、1年以上継続して月200時間以上アルバイトをしていた |
なお、ホテル・旅館の別紙は、フロント業務の最中に団体客のチェックインがあり急いで荷物を部屋まで運ぶ、といった一時的な対応は入管法上ただちに問題とされないとしています。ただし、そうした業務が結果として在留中の主たる活動になっていたと分かれば、在留期間の更新が不許可になる可能性があります。
ALLOWED05雇える仕事:許可事例に見る業務の中身
許可事例を見ると、業種よりも「その人の専門知識や語学力を使う業務が中心か」が分かれ目になっています。事例はあくまで一例で、同じ業種でも業務の中身次第で結論が変わります。
- 技術:工学部卒の人が電機メーカーで技術開発業務。本国で電気通信工学を専攻した人がソフトウェアの仕様調整や仕様書作成。専門学校の建築室内設計科を卒業した人が建築積算業務。自動車整備科の卒業生がサービスエンジニアとして基幹部分の点検・整備を行い、自動車整備主任者の業務にも従事する
- 人文知識:法学部卒の人が法律事務所で弁護士補助業務。本国で会計学を専攻した人が海外事業本部で貿易に関わる会計業務。経済学・国際関係学を専攻した人が自動車メーカーで市場調査や販売管理などのマーケティング支援
- 国際業務:経営学部卒の人がIT企業で翻訳・通訳業務。本国の大学で観光学科を卒業した人が、外国人観光客の多いホテルで外国語を使ったフロント業務や施設案内に従事する
- 外食・小売の本社業務:専門学校で経営学に係る学科を卒業した人が、飲食店チェーンの海外展開業務の担当として採用され、本社での2か月の座学研修と3か月の店舗研修の後に本社で海外展開業務に就く
飲食店や小売店そのものが対象外なのではありません。店舗での調理・接客・販売が仕事の中心なら対象外、本社の企画・海外展開・管理部門の業務が中心なら対象になり得る、という整理です。
TRAINING06入社直後の現場研修はどこまで認められるか
ガイドライン別紙1は、研修中の業務だけを見れば技人国に当たらない活動(飲食店での接客、小売店の店頭販売、工場のライン業務など)でも、日本人の大卒社員にも同様に行われる研修の一環で、在留期間全体の大半を占めるものでなければ、相当性を判断したうえで認めるとしています。
- 「在留期間全体」とは1回の許可で決まる在留期間ではなく、雇用契約や研修計画から見込まれる、技人国で在留する期間全体を指します。期間の定めなく常勤で雇用された人に在留期間「1年」が決定された場合、その1年すべてが研修ということもあり得るとされています。
- 反対に、雇用契約が3年間だけで更新予定もないのに、採用から2年間を研修に充てる申請は認められません。
- 採用から1年を超えて研修に従事する申請では、研修計画の提出を求めて研修期間の合理性が審査されます。
- 外国人社員だけに設定された研修や、日本人社員と差がある研修は、日本語研修を目的とするものなど合理的な理由がない限り、相当性が認められません。
- 研修期間がある場合、研修後に技人国の業務に移ったことを確認する必要があるため、在留期間は原則として「1年」が決定されます。更新時に当初の予定を超えて研修を続けていて合理的な理由がなければ、更新は認められません。
許可事例には、文学部卒で総合食料品店の本社総合職として期間の定めなく採用され、日本人の大卒者と同様に2年間スーパーの店舗で研修した後に本社の営業・管理部門などへ進むキャリアステップのケースがあります。一方、飲食チェーンで、数年に及ぶ期間未確定の店舗勤務を経て選抜された人だけが本社業務に就く計画は、一律に課される研修とは認められず不許可になっています。
VS TOKUTEI GINOU07特定技能との違い:現場の仕事は特定技能の領域
出入国在留管理庁は、技人国と特定技能の違いを業種別に並べた比較表を公表しています(令和8年1月現在)。表は対比のために概略を整理したものと断ったうえで、次のように整理しています。
| 活動内容 | 技人国:自然科学・人文科学の分野に属する技術・知識を要する業務、外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務/特定技能1号:特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務 |
|---|---|
| 本人の要件 | 技人国:大卒程度または実務経験10年以上(国際業務は3年以上)/特定技能1号:特定技能1号評価試験の合格等と、日本語能力試験N4以上の合格等(分野によってはN3以上等) |
| 宿泊業 | 技人国:フロント、企画・広報/特定技能1号:フロント、企画・広報、接客、レストランサービス業務 |
| 外食業 | 技人国:複数店舗の店舗管理、店舗経営、企画業務/特定技能1号:飲食物調理、接客、店舗管理 |
| 工業製品製造業 | 技人国:設計、プログラミング、技術開発/特定技能1号:製造工程・組立工程の作業 |
| 建設業 | 技人国:建築設計、設計監理、建築積算/特定技能1号:指導者の指示・監督を受けながら行う土木作業等 |
在留期間の仕組みも違います。特定技能1号は3年を超えない範囲で指定される期間ごとの更新で、通算の上限は5年(相当の理由があると認められる場合は6年)です。受入れ機関または登録支援機関による支援の対象でもあります。調理や接客、製造ラインなど現場の業務を担ってもらいたい場合は、特定技能など別の在留資格を検討することになります。制度の全体像は特定技能とは?1号・2号の違いと19分野で整理しています。
PERIOD08在留期間と、採用後に注意すること
技人国の在留期間は、出入国管理及び難民認定法施行規則の別表第二で「五年、三年、一年又は三月」と定められています。前述のとおり、実務研修がある場合は原則1年です。派遣形態で働く場合は、派遣契約期間に応じた在留期間が決定され、申請時点で派遣先が確定していなければ許可を受けられません(採用直後の研修を終えないと派遣先が決まらない場合は、その事情を踏まえて審査するとされています。令和8年7月更新の出入国在留管理庁資料)。
「留学」からの変更などでは、素行が善良であることも考慮されます。資格外活動許可の条件に違反して恒常的に週28時間を超えてアルバイトをしていた場合は、素行が善良とはみなされません。在留カードの記載事項や所属機関に関する届出など、入管法上の届出義務を果たしていることも求められます。
雇い入れたら、ハローワークへの外国人雇用状況の届出が必要です(特別永住者と、在留資格「外交」「公用」の人は届出の対象外です)。手順と期限は外国人雇用状況の届出と在留カード確認で解説しています。社会保険・年金の扱いは外国人社員の社会保険と年金をご覧ください。
出典
- 出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」
- 出入国在留管理庁「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」【統合版】(最終改定令和8年4月)
- 出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』と『特定技能』の違いについて」(令和8年1月現在)
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法施行規則」(別表第二・在留期間)
- 出入国在留管理庁「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」(令和8年4月15日一部改正・別紙1〜6) ─ https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan69.html
- 出入国在留管理庁「該当する活動・上陸許可基準について」 ─ https://www.moj.go.jp/isa/content/001366995.pdf
- 出入国在留管理庁「申請人が派遣形態で就労する場合の取扱いについて」(令和8年7月) ─ https://www.moj.go.jp/isa/content/001457164.pdf
- 出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」(特定技能1号の在留期間・支援) ─ https://www.moj.go.jp/isa/content/001335263.pdf
- 厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」令和8年6月版 ─ https://www.mhlw.go.jp/content/001261965.pdf
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